大学院教育改革支援プログラム

教育プログラムの概要

本研究科は「人文社会科学の基礎研究に優れた能力を有し、かつ人文社会分野の学問的進展や社会的要請の変化に応え得る独創性と柔軟性を併せもつ研究者・教育者、高い実務能力を有する高度専門職業人の養成」を目的としている。それにあわせて、各専攻の専門性に重点を置いたディシプリン型教育と並んで、共通科目の設定や他専攻科目の履修容認等を行うなど専攻間の垣根を低くした専攻横断型の教育研究体制を整備してきた。しかし現代社会の直面する諸問題に取り組み、また大学院生の多様化(社会人、留学生等)に伴う多様な知的要請に応えるためには、さらに新領域開拓の可能な柔軟なプログラムが必要となる。例えば(I)日本語・日本文化教育の普及に関し、海外でのその戦略的な起動及び継続可能な運営の方途を研究し、それを実際の実務にも反映させようとする場合、既存の専攻領域(主に応用言語学)のカリキュラムのみでは難しく、当該地域の特性の把握方法(現地調査等)、及び日本の国際貢献の可能性に関わる知識が必要となる。また(II)協定校との交換留学を利用してすでにドイツ、トルコ、カザフスタンに留学経験をもつ学生が、その経験を生かして国際貢献の可能性を研究したい場合、複数指導教員の適切な助言によって国際関係論、ドイツ語学研究、国際政治経済特論(ロシア)、異文化地域論、国際インターンシップ等の履修と研究企画の立案によって、新領域を開拓する可能性が生まれる。このように本事業は(1)現代の多元的・多価値的・流動的世界における様々な問題に取り組むための共同指導体制を充実させ、(2)複数の指導教員とともに学生が主体的にプロジェクトを立てる共同研究参加型教育を行い、(3)人社系の新研究領域を開拓し、激変する現代社会の要請に応えうる実務能力、企画力を備えた研究者・教育者、及び高度専門職業人の要請を目標とするプログラムである。

  1. 運営機構:この取り組みのために本研究科内に「インターファカルティ教育研究イニシアティヴ(IFERI)」という機構を立ち上げる。「プログラム運営委員会」において、学生各自に適切なカリキュラムの設定、共同指導体制の確定、教育内容の充実(ワークショップ、公開研究発表会等)、成績評価の厳密化等を行う。また「プログラム評価委員会」では学生委員とともにFD及び成績評価の自己点検を行う。「外部アドバイザー委員会」では国際機関、民間有識者に依頼し、社会の要請に関して意見を聴き、助言をプログラムに取り組む。
  2. 選抜方法:既存の専攻の入学者の中から、特に明確に専攻を超えた問題意識または研究テーマをもっている学生を公募により10名程度選抜する。選考はIFERI運営委員会が研究計画書の審査、及び面接により行い、学生の所属専攻の指導教員(主指導1名)と他専攻の指導教員(副指導1名ないし2名)を決定する。
  3. 教育課程:1年次は「リサーチ・ワークショップ」(必修科目)において、各学生のテーマに最適な履修カリキュラムを設定し、単なる専攻横断の科目履修ではなくプロジェクト研究としての企画、立案ができるように指導する。人社系の基礎的問題を深く知るために研究科共通科目(「文明対話学序説」「社会科学方法論序説」)を必修とし、さらに複数の専門に関わる専門科目、短期語学研修、現地調査(フィールドワーク)等を各自のプロジェクトの必要性に応じて履修する。これにより学生は、修得する知識と自己の研究との有機的な繋がりを意識することができ、問題解決・提言を行うために、自立的な研究遂行能力を養うことができるようになる。
  4. 2年次の中間評価では、修士論文または特定課題に関するリサーチデザインを評価の対象とし、プログラム成果発表会において成果発表を義務づける。
  5. 3年次〜5年次では、「プログラム演習」の履修を中心に新領域開拓のための博士論文を執筆する。本研究科の海外協定大学(50校)、本学の国際連携センター(中央アジア、北アフリカ)、大型研究プロジェクトといった知的基盤を活用して行う「現地調査研究」「国際学会研究発表」「国際インターンシップ」のうち2科目を履修し、高度な国際的発信力、行動力、言語表現力を育成する。

履修プロセスの概念図

履修プロセスの概念図

採択理由

大学院教育の実質化の面では、「人文社会科学の基礎研究の優れた能力、学問的進展や社会的要請の変化に応え得る独創性・柔軟性を持つ研究者・教育者」等の育成を目指し、各専攻のディシプリン教育と共通科目の設定などによる体系的な教育課程と専攻横断型の教育研究体制が整備されている点は評価できる。
教育プログラムについては、大学院生の多様化等に応えるため、さらに新領域開拓の可能な柔軟な教育プログラムを目指し、「インターファカルティ教育研究イニシアティヴ(IFERI)」というプログラムの運営機構を整備し、学生の選抜、個々の学生に応じたカリキュラムの提供、評価などを組織的に推進する体制が整備されている点は高く評価できるが、異分野における高度な知識を修得させるための具体的な実現のプロセス等については、更なる検討が必要である。

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